魔法使い、拾います!
ティアは登城初日、王に謁見した後で父であるジョナから呼び止められた。二十四時間体制での王の警護を任せたいから、打ち合わせをしに北の執務室へ来るように、とのことだった。
ティアは東の守護長の管轄下に配属されたため、直属の上司に当たるヴァルの執務室へ報告しに行った。ヴァルは怪訝な顔をして疑問を口にする。
「ティアが王を二十四時間体制で警護するのですか?」
「お父様はそう仰ったけど……。そんな大役をどうして私が任されるのか、お父様の意図が分からないわ。」
「そうですよね。しかも着任早々ですよ。守護長である僕が命令されるならまだ納得できますが……。師匠の考えは時々読めません。きっと何かティアでなければならない事情があるのでしょう。くれぐれも気をつけて任務にあたって下さい。まだ新居も決まっていないので、僕も城の執務室へ泊まることにします。何かあったら連絡を下さい。」
「分かったわ。」
ティアはジョナの指示通り北の執務室へと向かった。部屋に入ると父の姿はなく、意外な先客と対面することになった。
「初めましてティア。シャルロットです。ごきげんよう。」
一際格調高いドレスを身にまとった王妃が、窓際に佇んでいたのである。側には侍女が一人付き添っているだけであった。ティアは慌てて膝を折り敬礼した。マントの裾が床を覆う。
「これは王妃様!拝謁賜り光栄です。」
「シャルロットでいいわ、気楽に話しましょう。城は堅苦しくて息がつまりそうになるの。……ねぇ、ティアには婚約者が居たのですってね。……残念だったわね。」
「残念……。とは?」
膝を着いたままの体勢でティアはシャルロットを見上げた。
ティアは東の守護長の管轄下に配属されたため、直属の上司に当たるヴァルの執務室へ報告しに行った。ヴァルは怪訝な顔をして疑問を口にする。
「ティアが王を二十四時間体制で警護するのですか?」
「お父様はそう仰ったけど……。そんな大役をどうして私が任されるのか、お父様の意図が分からないわ。」
「そうですよね。しかも着任早々ですよ。守護長である僕が命令されるならまだ納得できますが……。師匠の考えは時々読めません。きっと何かティアでなければならない事情があるのでしょう。くれぐれも気をつけて任務にあたって下さい。まだ新居も決まっていないので、僕も城の執務室へ泊まることにします。何かあったら連絡を下さい。」
「分かったわ。」
ティアはジョナの指示通り北の執務室へと向かった。部屋に入ると父の姿はなく、意外な先客と対面することになった。
「初めましてティア。シャルロットです。ごきげんよう。」
一際格調高いドレスを身にまとった王妃が、窓際に佇んでいたのである。側には侍女が一人付き添っているだけであった。ティアは慌てて膝を折り敬礼した。マントの裾が床を覆う。
「これは王妃様!拝謁賜り光栄です。」
「シャルロットでいいわ、気楽に話しましょう。城は堅苦しくて息がつまりそうになるの。……ねぇ、ティアには婚約者が居たのですってね。……残念だったわね。」
「残念……。とは?」
膝を着いたままの体勢でティアはシャルロットを見上げた。