魔法使い、拾います!
シャルロットは窓際からソファーに移動すると、ティアにも隣に座るように促した。

「実は私にも、結婚を約束した方が祖国に居るのよ。」

「え……。」

このお方は一体何が言いたいのだろうと、流石のティアも言葉が出ない。

「王族の婚姻は国同士が決めた政略的なもので、強制的でしょう?ましてやこのルトアンゼ王国は他国と比べても珍しい一夫一婦制。一人しかいない妃がお世継ぎを残すのも大事なお役目よね?多数の王妃候補者の中から吟味されて私が選ばれたのだから、もちろん覚悟して嫁いできたのだけれど。私、どうしても陛下を受け入れられなくて。」

「いえ……あの……。何故そのような秘め事を、私に打ち明けるのですか?」

突然こんな相談をされても、正直ティアには王妃のわがままにしか聞こえない。しかし、いくら気楽にと言われても相手は王妃様である。どこまで踏み込んで話していいものか悩ましい。それよりもティアは残念と言われた真意を知りたかった。

「あなたが陛下の妃になってくれるからよ。あなたは婚約が白紙になって残念かもしれないけど、もしかして守護長夫人でいるより、陛下唯一の妃になる方が良いかもしれなくてよ?残念というよりはむしろ幸運なのではないかしら。」

王の妃になる……?結婚を白紙……?ちょっと待って……。今の話がティアには理解できない。

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