魔法使い、拾います!
「ヴァル君、ヴァル君、洞窟のみんなに気づかれる前に帰ろう。さぁ、起きて。」
「うん……。ティア……もう朝ですか?」
「ほらヴァル君、寝ぼけてないで起きて。顔でも洗うかい?」
ゆさゆさと肩を揺すられて、ヴァルは眠い目をこすった。眠る前の記憶が蘇る。そうだ、ここはジャンさんの家だった。
そっと隣のベッドに視線を向けると、眠り姫はまだ可愛い寝顔のままだった。自然と口元が緩み、ほっこりとした気持ちになる。
隣のダイニングにパンとミルクが用意されていて、ヴァルは遠慮なくそれを胃に納めさせてもらった。洞窟の階段まではジャンが同行を申し出た。キャラもそれがいいと言って頷く。そしてヴァルの手を取った。
「これね、テントウムシをモチーフにして私が作ったの。この小さな虫はね、振り返ることもなく、ただひたすら上を目指して進むんだって。凄いよね。」
そう言ってキャラはヴァルの手にペンダントを握らせる。
「へぇ……そうなんですか。」
「ねぇ、魔法が使えるようになったらさ、このシルバーのテントウムシをヴァル君の魔法で七色にしてみてよ。そうだ!良いこと思いついた!これをもう一つ作って家の娘とお揃いにしておくから、いつか娘のテントウムシも幸せの七色にしてあげて!我ながらグッドアイデアだわ。」
ヴァルはちらりと寝室のドアに目を向けた。
「あの子とお揃い……?はい、約束します!いつかきっと!」
あんなに辛くて苦しかった修行を、たった一回のハグで尊いものに感じさせてくれた二人と、あの愛らしい眠り姫のために、修行の場へとヴァルは戻る決意ができた。
ハグの記憶とこのペンダントがあれば耐えることが出来る。例え師匠に褒めてもらえなくても励むことが出来る。
そう思ったのに。
断崖の階段を下りて洞窟に入ると、入り口には鬼のような形相で仁王立ちをしている師匠ジョナの姿があった。
「うん……。ティア……もう朝ですか?」
「ほらヴァル君、寝ぼけてないで起きて。顔でも洗うかい?」
ゆさゆさと肩を揺すられて、ヴァルは眠い目をこすった。眠る前の記憶が蘇る。そうだ、ここはジャンさんの家だった。
そっと隣のベッドに視線を向けると、眠り姫はまだ可愛い寝顔のままだった。自然と口元が緩み、ほっこりとした気持ちになる。
隣のダイニングにパンとミルクが用意されていて、ヴァルは遠慮なくそれを胃に納めさせてもらった。洞窟の階段まではジャンが同行を申し出た。キャラもそれがいいと言って頷く。そしてヴァルの手を取った。
「これね、テントウムシをモチーフにして私が作ったの。この小さな虫はね、振り返ることもなく、ただひたすら上を目指して進むんだって。凄いよね。」
そう言ってキャラはヴァルの手にペンダントを握らせる。
「へぇ……そうなんですか。」
「ねぇ、魔法が使えるようになったらさ、このシルバーのテントウムシをヴァル君の魔法で七色にしてみてよ。そうだ!良いこと思いついた!これをもう一つ作って家の娘とお揃いにしておくから、いつか娘のテントウムシも幸せの七色にしてあげて!我ながらグッドアイデアだわ。」
ヴァルはちらりと寝室のドアに目を向けた。
「あの子とお揃い……?はい、約束します!いつかきっと!」
あんなに辛くて苦しかった修行を、たった一回のハグで尊いものに感じさせてくれた二人と、あの愛らしい眠り姫のために、修行の場へとヴァルは戻る決意ができた。
ハグの記憶とこのペンダントがあれば耐えることが出来る。例え師匠に褒めてもらえなくても励むことが出来る。
そう思ったのに。
断崖の階段を下りて洞窟に入ると、入り口には鬼のような形相で仁王立ちをしている師匠ジョナの姿があった。