魔法使い、拾います!
断崖の階段は、子供の頃の印象とは全く違い易々と上ることが出来た。修行の成果もあるのだろうか。死に物狂いで心と同じく体も鍛えたのだ。
野原を越え、難なく丘の上までやってきたヴァルは、カタの町長の屋敷の近くまで来ていた。
いよいよ二人に会えるのだと思うと、嬉しさで胸の辺りがきゅーっと締め付けられる思いだ。二人に会ったら先ず何て言おう。
七色の光で魔法を使ったら褒めてくれるだろうか。頑張ったねって、またハグしてくれるだろうか。それよりも成長した自分を見てジャン達は自分を思い出してくれるかな。いやまさか、忘れられていたりして…。
勝手にいろんな想像をして、ヴァルは赤くなったり青くなったりしていた。
緊張でしばらく葛藤していたヴァルは、沈んだ表情でこちらに歩いてくる男女に気が付いた。きっと町長夫妻だろう。丘の上の屋敷が町長の家であることは、ここに来るときにジョナから聞いて知っている。
「あの、失礼ですが…何かあったのですか?」
ヴァルは二人に近寄り声をかけた。マントは着用してこなかったので、二人には自分が魔法使いだと悟られることはない。
よく見ると婦人の方は泣いているようだ。
「……?君はだれだい?見かけない顔だが。」
「あっ、不躾に申し訳ありません。以前このカタの町でジャンさんとキャラさんにお世話になった者です。お礼に伺ったのですが、どうやら家の前を通り過ぎてしまったようで……歩き続けていたらここまで来てしまいました。」
ヴァルは上手く誤魔化せたかなと、少し不安になった。しかし、二人は予想外の反応をヴァルに見せた。
「ジャンとキャラに……かい?」
町長が悲しい表情で呟き、夫人が横で嗚咽し始めた。
野原を越え、難なく丘の上までやってきたヴァルは、カタの町長の屋敷の近くまで来ていた。
いよいよ二人に会えるのだと思うと、嬉しさで胸の辺りがきゅーっと締め付けられる思いだ。二人に会ったら先ず何て言おう。
七色の光で魔法を使ったら褒めてくれるだろうか。頑張ったねって、またハグしてくれるだろうか。それよりも成長した自分を見てジャン達は自分を思い出してくれるかな。いやまさか、忘れられていたりして…。
勝手にいろんな想像をして、ヴァルは赤くなったり青くなったりしていた。
緊張でしばらく葛藤していたヴァルは、沈んだ表情でこちらに歩いてくる男女に気が付いた。きっと町長夫妻だろう。丘の上の屋敷が町長の家であることは、ここに来るときにジョナから聞いて知っている。
「あの、失礼ですが…何かあったのですか?」
ヴァルは二人に近寄り声をかけた。マントは着用してこなかったので、二人には自分が魔法使いだと悟られることはない。
よく見ると婦人の方は泣いているようだ。
「……?君はだれだい?見かけない顔だが。」
「あっ、不躾に申し訳ありません。以前このカタの町でジャンさんとキャラさんにお世話になった者です。お礼に伺ったのですが、どうやら家の前を通り過ぎてしまったようで……歩き続けていたらここまで来てしまいました。」
ヴァルは上手く誤魔化せたかなと、少し不安になった。しかし、二人は予想外の反応をヴァルに見せた。
「ジャンとキャラに……かい?」
町長が悲しい表情で呟き、夫人が横で嗚咽し始めた。