魔法使い、拾います!
どのくらい経っただろうか、ヴァルは深呼吸してゆっくりと立ち上がる。
「戻らなきゃ……。」
力なく呟くと元来た道へと引き返した。
事故の話を聞いてから半年後のことである。王都ハラでヴァルは東の守護長、ティアはその部下として守護職に就くようにと命ぜられ、洞窟を離れることになった。
出立前夜。
ヴァルは一人、心の中で誓いをたてた。これからはティアと二人で幸せな家庭を築いていこう……と。
それなのに、この期に及んで往生際が悪いと自分でも思う。ヴァルは手の中にあるペンダントにそっとキスを落とした。
ジョナに見つからないように付き人の元へ行き、返してほしいと必死に頼んだ、あの時のテントウムシのペンダントである。
その大事なペンダントをヴァルは荷造りが終わったカバンの中へそっと滑り込ませた。
ジョナがその姿を見ていたとは気づかずに。
「戻らなきゃ……。」
力なく呟くと元来た道へと引き返した。
事故の話を聞いてから半年後のことである。王都ハラでヴァルは東の守護長、ティアはその部下として守護職に就くようにと命ぜられ、洞窟を離れることになった。
出立前夜。
ヴァルは一人、心の中で誓いをたてた。これからはティアと二人で幸せな家庭を築いていこう……と。
それなのに、この期に及んで往生際が悪いと自分でも思う。ヴァルは手の中にあるペンダントにそっとキスを落とした。
ジョナに見つからないように付き人の元へ行き、返してほしいと必死に頼んだ、あの時のテントウムシのペンダントである。
その大事なペンダントをヴァルは荷造りが終わったカバンの中へそっと滑り込ませた。
ジョナがその姿を見ていたとは気づかずに。