魔法使い、拾います!
テーブルの上で組んだ指を、グレンはぎゅっと固くした。視線はその手に注がれる。

「急に、か……確かに、リュイにとっては急だよな。……俺もさ、最初はララと同じ妹みたいな感覚でリュイを見ていたんだ。でも、気づいたら……自然に一人の女の子としてリュイが俺の中に居た。自覚するのにそう時間はかからなかったぞ。」

「そういうものなの?……私はヴァルのこと、グレンに言われるまで自覚できなかったけど。へへ……鈍感にも程があるね……。」

「お前なぁ。たかが数日一緒に居ただけで好きとか言うな。まぁ、でも、リュイの気持ちがどうであれ、あの魔法使いは他の女と結婚するんだ。酷な言い方だけど、あいつがお前を選ぶことはないぞ。」

「うん、分かってる。そうなんだけど。」

止まったはずの涙がまた溢れてしまいそうで、リュイはぎゅっと目をつむった。

「あのね、グレン。実は私、さっきまでヴァルの婚約者さん……ティアさんと話をしていたんだ。凄く素敵な人で、ヴァルともお似合いで、私が入り込める隙なんてどこにもなかったよ。それは最初から分かっていたことだから。でも、それとグレンの話は別じゃない?突然、結婚とか言われても……。」

グレンは、また泣き出してしまいそうなリュイをじっと見つめた。

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