魔法使い、拾います!
「あー……悪かったよ、かなり強引だったよな。俺、自分のことしか頭になくて。リュイをあいつに取られるんじゃないかって思ったら、正直、不安すぎて余裕が無くなった。リュイの気持ち考えてやれなくて、ごめんな。だから泣くなよ。俺のことはゆっくり考えてくれていい。俺の気持ちは変わらないから。」

「うん。ごめ……ありがとう。」

リュイはグレンの言葉にほっと胸を撫でおろした。今はまだヴァルのことで苦しくて、グレンの気持ちに寄り添えそうにないのだ。

少しだけ和らいだリュイの表情を見て、グレンは静かに立ち上がった。

「じゃ、俺、帰るから。考えるのは明日にして今日はもう寝ちまえよ。お前、寝るの得意じゃん。どうせ今も、いつでも、いつまでも、寝られるんだろ?」

グレンは笑いながらリュイの側へ行くと、不本意そうな顔をしたリュイのおでこに優しくキスを落とした。

ひらひらと手を振りながら階段を降り、リュイの家を後にする。屋敷への道すがらグレンは大きなため息を吐いた。

「はぁ……もっと早くに告白しておくべきだったな。さっきのキスで少しは俺のこと、男として意識してくれればいいけど。いや、あいつは相当な鈍感だから、分かり易く口への方がよかったかなぁ。」

そんなことを思いつつも、一人残してきたリュイが泣いていないかと気がかりで、一度振り向いて見た。リュイを想うと、また大きなため息が出てしまう。グレンは踵を返し自分の屋敷へと歩みを再開させた。

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