魔法使い、拾います!
育ててもらった恩人である師匠の命令に背いて、自分の感情を優先させてもいいのだろうか。瞬時にヴァルの脳内では、激しい葛藤が繰り返された。
今更こんなことを考えてどうする。あの少女の寝顔を忘れることが出来なかった感情こそが、紛れもない答えではないか。
ヴァルは手の中にあるペンダントをちらりと見てから、ティアを真っ直ぐに見つめた。
「はい、僕はリュイが好きです。一度だって、彼女の寝顔を忘れたことはありません。数日ではありましたが、成長したあの子と一緒に過ごせて夢のようでした。許されるなら、このままずっと一緒に居たい……。」
ティアに誘導されて自分の気持ちを確認できたヴァルは、裏腹に表情を暗くした。
「やはり師匠の言う通りですね。自覚はなかったのですが、僕はずっと師匠との約束を裏切っていたことになるんです。これは許されることではありません。今、自分の身勝手さを思い知りました。師匠を失望させてしまったことは、魔法使いとして活躍することで償っていこうと思います。ティアにも……申し訳ありません。」
しゅんと下を向くヴァルが可愛くて、ティアは昔のようにわしゃわしゃと頭を撫でる。
「あら?そんなに都合よく守護長のままで居られると思っているの?城に居ることを、お父様が許すはずないじゃない。……でもヴァルの気持ちを確認出来て良かったわ。これで私も心置きなくピア様のお側に行ける。私達、お互いの道を進みましょう。」
恥ずかしそうにヴァルは頭からティアの手を払い、そのままティアの肩に手を回した。ヴァルの照れた顔を見るのは久しぶりである。ティアもヴァルの肩に手を回し、ふふふ、と笑った。
ティアはこっそり心の中で呟く。
『本当はね……。ヴァルと婚約しなさいと言われたとき、とっても嬉しかったのよ……。』
晴れて姉と弟の関係であることを再確認した二人は、お互いの幸せを祈りつつ肩を寄せ合った。それはまるで、幼い時に何も考えず楽しく遊んでいたときの、懐かしい感覚を思い出すかのように見えた。
今更こんなことを考えてどうする。あの少女の寝顔を忘れることが出来なかった感情こそが、紛れもない答えではないか。
ヴァルは手の中にあるペンダントをちらりと見てから、ティアを真っ直ぐに見つめた。
「はい、僕はリュイが好きです。一度だって、彼女の寝顔を忘れたことはありません。数日ではありましたが、成長したあの子と一緒に過ごせて夢のようでした。許されるなら、このままずっと一緒に居たい……。」
ティアに誘導されて自分の気持ちを確認できたヴァルは、裏腹に表情を暗くした。
「やはり師匠の言う通りですね。自覚はなかったのですが、僕はずっと師匠との約束を裏切っていたことになるんです。これは許されることではありません。今、自分の身勝手さを思い知りました。師匠を失望させてしまったことは、魔法使いとして活躍することで償っていこうと思います。ティアにも……申し訳ありません。」
しゅんと下を向くヴァルが可愛くて、ティアは昔のようにわしゃわしゃと頭を撫でる。
「あら?そんなに都合よく守護長のままで居られると思っているの?城に居ることを、お父様が許すはずないじゃない。……でもヴァルの気持ちを確認出来て良かったわ。これで私も心置きなくピア様のお側に行ける。私達、お互いの道を進みましょう。」
恥ずかしそうにヴァルは頭からティアの手を払い、そのままティアの肩に手を回した。ヴァルの照れた顔を見るのは久しぶりである。ティアもヴァルの肩に手を回し、ふふふ、と笑った。
ティアはこっそり心の中で呟く。
『本当はね……。ヴァルと婚約しなさいと言われたとき、とっても嬉しかったのよ……。』
晴れて姉と弟の関係であることを再確認した二人は、お互いの幸せを祈りつつ肩を寄せ合った。それはまるで、幼い時に何も考えず楽しく遊んでいたときの、懐かしい感覚を思い出すかのように見えた。