魔法使い、拾います!
グレンを蔑ろにしないためにも、ヴァルを好きだと気付いた自分の気持ちに正直でありたい。だから、ヴァルを好きな自分のままでグレンと結婚は出来ない、というのがリュイの想いだ。

「本当はこんな悲しい気持ちでいるくらいなら、グレンの優しさに甘えちゃおうかなって……思ってもみたんだ。でもやっぱり今はヴァルが好きなの。グレンの気持ちに応えられなくてごめんなさい。」

甘えろよ……と、いう言葉をグレンは飲み込んだ。

「うん……まぁ……あれだ……。それこそ先のことは分からないからな。いつ『グレンのお嫁さんにして』って言い出すのか、楽しみにしておくよ。」

「えー、言うかな?うーん……そうだね……。言うかもね。」

「ぶはは……。安心しろ。その時は、こっぴどく振ってやるから。」

「グレン。今のは意地悪だよ。」

「冗談だよ、冗談。」

「……分かりづらいよ。」

リュイがしゅんと肩を落として下を向いた。この一連の話がリュイには重荷過ぎて、冗談なのか何なのかさえ既に判断できなくなっていた。

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