僕は何度でも、君の名前を呼ぶよ。
「さっきはびっくりしたよね、そろそろ、この世界の説明をするね」
ネリスが俺をいたわるように声をかけてきた。
「いや、ア…Iがなんとか助けてくれたから」
Iはフレアとともに、俺とネリスとつかず離れずの距離を保ちながら少し前を歩いている。
それは、きっとさっきのような『ナニカ』に対応するためだろう。
「この世界の名前は、『サイドワールド』」
「…サイドワールド…?」
繰り返すと、ネリスはうんとうなずいた。
「簡単に言うとね、ここは、あの世とこの世の境目みたいなところ。黄泉の世界って考えたらわかりやすいかな?」
人差し指を立てながら、丁寧に説明をしてくれるネリス。
あの世とこの世の境…ということは。
「…俺はまだ、死んでいないってことか?」
そう聞くと、ネリスは少し残念そうに笑う。
それは、どうなのかわからない。そういって、かなしそうに笑った。