僕は何度でも、君の名前を呼ぶよ。


「ピンポーン!!いるかいないかは別として、ここがセレンの住処だぜ!」


じゃっかん男口調なのが気になるが…。

とりあえず俺は、セレンのいる二枚貝を三回ほどノックしてみた。


少しして。


「だれだい?」


というセレンの声が聞こえた。

よかった、いるみたいだ。


振り向くと、ネリスやフレアが優しげにほほえんでいる。


「わっくんを元の世界に返すためには、セレンにいろいろ聞くのが一番だよ」

「外はあたしらがIと一緒に守っててやっから、心配ないぜ!」


俺は、Iに視線を移す。
Iとの視線がぶつかった瞬間、視線をそらされてしまう俺。
…もしかして俺、嫌われてる…?

余計なことばかり気にしている俺だが、今は元いた世界に帰ることを優先しよう…。

俺は、閉じられたままの二枚貝に向かって声をかけたのだった。


「和玖です。聞きたいことがあります」



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