僕は何度でも、君の名前を呼ぶよ。
「で、和玖。あんたは、あっちの世界に戻るか可能性は十分ある!」
「え!?」
両肩に勢いよく置かれたセレンの手は、とても冷たくて、でも力強くて。
「どうすれば…」
「和玖。お前の名前を、大切な人に呼んでもらうことだ」
「名を…?」
大切な人に、呼んでもらう…?
「お前はきっと、どこかの病院のベッドで寝ている。そこで昏睡状態のはずだ。サイドワールドに来る子たちはだいたい昏睡状態にある」
そこで、だ。
セレンは続けた。
「自分にとって大切な人に、名前を呼んでもらうことで、元の世界への道が開かれるようになっているんだ」
セレンは自分の説明にうなずきながらなおも続けた。
しかし、俺はただ愕然とするしかなくて。