僕は何度でも、君の名前を呼ぶよ。


「だから…」


俺は、元いた世界のことを思い出した。

翼こそ見えなかったけれど。


「アイ」と名乗った少女は、嬉しそうに俺の周りをうろうろと飛び回り。
「あたし、幽霊なんだ!あたしのこと見える人に会えたのはじめて‼‼」

楽しそうに、俺の周りをくるくると回っていた。


翼がなかったのは、まだ完全に死んでいたわけではないからで。


でも、アイ…Iの死期は、完全に迫っているんだ…。


最初は鬱陶しくて。
邪魔で。
どっか行けなんて思ってたけど。

ものを触る練習をしたり。
…車にひかれそうになった俺を、助けてくれたり…。



アイとの生活を思い出しているうちに。



「……なんだ…これ……」


< 48 / 72 >

この作品をシェア

pagetop