僕は何度でも、君の名前を呼ぶよ。



「…ふ……っ…う…!!」



すべて思い出した俺は、溢れるものをこらえきれずにいた。
そうだ。
俺、あの二年前の事故の後、すぐに目を覚ましたんだ。
でも、なにも記憶がなくて。

それから今までの二年間、俺は二年前親友だった奴らとさえも絡めなくなって。
両親でさえも、他人に思えて。


でも、思い出した。


二年前のこと、それ以前のこと…全部全部…




「和玖」




次々と溢れる暖かいそれをこらえきれずにいたとき。

優しい声に導かれるように目を開けると、目の前には優しい表情のセレン。





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