道の果て・・

自立

私は叔母にはよくしてもらったが
家族にはなれないと思っていた。
だから1日でも早く
自立したかった。

高校には進学しなかったので
バイトをしてお金を貯めた。
来る日も来る日も
毎日、朝から晩まで働いた。

それはまるで父が出て行った後の
母のようだった。
私はそうやって自分を痛めつけて
いたのかもしれない。
そうすることで、母の苦しさを
分かってあげたかったのかもしれない。

今、母に話せるのならば
私はごめんねと言いたい。

そして、いつしか夏生にも
連絡をしなくなっていった。
お互い、暮らす世界が違えば
おのずと話す内容はなくなっていった。

それはお互いの優しさだったのかも
しれない。
相手にわからない話をするのは
悪い・・・そう思うと
もぅ話すことはできなくなっていった。

きっと夏生もそうだったと
私は今なら、そう思える。

だがまだ、幼い私は捨てられたのだと
その時は思うことしかできなかった。
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