道の果て・・
きっと夏生は驚いたことだろう。
いつものメンバーの中に
私がいたのだから。

夏生は見なかった間に
とても大人になっていた。
スーツ姿の彼にまた、私はときめいて
しまった。
まだ、私の中では終わってなかったのかと
自分に落胆した。

成長した彼の姿は会わなかった時間の
重さのように感じた。

夏生は私を見つめて・・・
本当に驚いたのだが
泣き出した。

彼はボロボロと涙を流しながら
本物なのかを確かめるように
私の頬に手をあてた。

私の頬に触れた彼の手から
懐かしい夏生の体温を感じて
私も泣いてしまった。

そこからは言葉などいらなくて
抱き合って泣いた。

それは夏生もまた私との
恋を終わらせていなかったことの
証明だった。
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