道の果て・・
奈津は父親に遊んでもらって
疲れ果てて寝てしまった。

私は夏生と向かい合わせで
座っていると泣いてしまいそうで
目をあわせれずにいた。

彼はどうしたの?と声を
かけてくれたが、私はそれに
関してはなにも答えずに
「夏生、抱いて」
そう言った。

私から求めることはなかったから
彼はとても驚いたが
優しく、私を抱き寄せて
キスしてくれた。

私は彼の体の隅々まで
忘れてしまわないように
自分の体に刻むように
彼と重なり合った。

そして彼にも自分の体を
忘れられないように
彼の体にも私を刻み込んだ。

何度も私は彼を求めて
彼も答えてくれた。

愛しい彼との最後の夜は
そうして何度も体を重ねながら
更けて行った。
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