道の果て・・
その方は、会社社長と言っても
おじぃさんとかではなく
32歳のとても紳士な方だった。

同伴やアフターにも誘ってもらったが
1度だって体を求められたり、
お席に着いているときも、
手を握られたりすることすらなかった。

ただ、話をして帰って行く、
たまには、ご飯にも誘ってもらったが
いつでもおいしいものを
食べさせてもらって、奈津に
お土産まで買っていただいたり、
本当にいい人だった。

きっと夏生との出会いがなければ
彼を好きになっていただろう。
そして結婚もこれほど
良い条件はなく、迷わず
お受けしていたことだろう。

でも、私にはやはりできなかった。
夏生とも思い出は色あせることなく
私のなかで、キラキラと
輝いていた。
夏生はいつまでも私の心を
独り占めしていた。


< 59 / 92 >

この作品をシェア

pagetop