道の果て・・

母として

奈津は小学校にあがっていた。
私には直接言わないが
父親がいないことで奈津なりに
苦しんでいた。

そして私が夜の仕事をしていることも
少しづつだが、ぼんやりと
理解していた。

私は、奈津に母親らしいことを
してあげれていないことが
とても苦しかった。

奈津、おかぁさんは悪い
母親だね。
私は何度も奈津に心の中で
わびていた。

奈津にとっては良い環境では
ないが、奈津はぐれたりすることは
なく、本当にいい子だった。

奈津のためにも社長との
結婚は望ましかった。
でも、私にはできなかった。
母親としてだけ生きることが
まだ、私にはできなかった。
夏生を忘れられずにいた。
そればかりか、夏生以外と
結婚することは、私の女の部分が
許さなかった。

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