謎は流しておしまい~迷探偵とやめたい助手~(仮)

ヒマな時は何をしてもいいらしいので
遠慮しながら就職情報誌をめくっていたら視線を感じた。

畑山さんが悲しそうに私を見つめていた。
今にも泣きそうで
捨てられた仔犬のまなざしと一緒。

バイトに頼り過ぎですよ先生。

例の5の付く日に浮気していた男性の奥さんからは、その後の調査は依頼されなかった。

畑山さんが近くのカフェで、私の撮影した画像と共に報告書を奥さんに渡したけど、その後の調査依頼はなかったようだ。

仕事のチャンスを失ってしまった。
奥さんが希望するなら
相手の女性を調べる仕事もあったのに。

「円満解決したんでしょうか、それとも修羅場でしょうか」

畑山さんに聞いてみると
彼は静かに私に微笑んだ。

窓からの光を浴びて柔らかい髪がキラキラしている。

優しい癒されるイケメン。

性格がとっても残念なイケメン。

ムダなイケメンが悲しい。

「どうだろうね。でも僕達の仕事はそこで終わりだから」

正論を言われて私はうなずく。

気になるけど
気になっちゃいけない仕事なんだ。

私は畑山さんの言葉に納得してうなずく。

浮気は最低で
ガンガン奥さんに怒られて
沢山の反省をしてから

円満に終わったらいいなぁ

などと
のん気に思っていたら


修羅場が事務所にやって来た。








< 39 / 52 >

この作品をシェア

pagetop