謎は流しておしまい~迷探偵とやめたい助手~(仮)
ヒマな時は何をしてもいいらしいので
遠慮しながら就職情報誌をめくっていたら視線を感じた。
畑山さんが悲しそうに私を見つめていた。
今にも泣きそうで
捨てられた仔犬のまなざしと一緒。
バイトに頼り過ぎですよ先生。
例の5の付く日に浮気していた男性の奥さんからは、その後の調査は依頼されなかった。
畑山さんが近くのカフェで、私の撮影した画像と共に報告書を奥さんに渡したけど、その後の調査依頼はなかったようだ。
仕事のチャンスを失ってしまった。
奥さんが希望するなら
相手の女性を調べる仕事もあったのに。
「円満解決したんでしょうか、それとも修羅場でしょうか」
畑山さんに聞いてみると
彼は静かに私に微笑んだ。
窓からの光を浴びて柔らかい髪がキラキラしている。
優しい癒されるイケメン。
性格がとっても残念なイケメン。
ムダなイケメンが悲しい。
「どうだろうね。でも僕達の仕事はそこで終わりだから」
正論を言われて私はうなずく。
気になるけど
気になっちゃいけない仕事なんだ。
私は畑山さんの言葉に納得してうなずく。
浮気は最低で
ガンガン奥さんに怒られて
沢山の反省をしてから
円満に終わったらいいなぁ
などと
のん気に思っていたら
修羅場が事務所にやって来た。