謎は流しておしまい~迷探偵とやめたい助手~(仮)
窓から見える街路樹は秋の色合い。
アスファルトには小さな木枯らし
クルクルと落ち葉が楽しそうに踊ってる。
事務所の中はいつも通り
訪問者は誰もなく
暇すぎてどうしましょう。
「眠気覚ましにどうぞ」
デスクで【初心者探偵入門①】を3Pほど読んで眠くなってる私に、畑山さんはマグカップを差し出した。
「ありがとうございます。コーヒーなら私が入れますよ」
その後に『ヒマですから』って言いたかったけど我慢する。
「いや、いいんだ。ヒマだから」
悲しそうに言う探偵先生。
言ったな……ヒマって言ったな
言葉に出すと悲しくなるから私は止めたのに。
「コーヒー好きの友達から美味しい豆をもらったけど、正直味がわかんない」
畑山さんはそう言いながら自分のマグカップに口を付けてソファに座る。
長い足を組み
白いシャツが良く似合う。
モデル事務所とかに登録するのはどうだろう
探偵事務所より儲かりそうだけど
「あ、美味しい」
コーヒーの香りに癒されながら
ひと口飲んで
その美味しさに驚き。
スッキリしてる。飲みやすいし。
「大手の副社長やってんだけど、自分の部屋に焙煎機置いてるらしいよ」
「本格的ですね」
「顔は良くて仕事もできるんだけど、変なヤツで残念なんだ」
そう言いながら笑ってるあなたも同類ですから。
類は友を呼ぶんだろう。
それでも仕事できるだけ偉いよね。
畑山さんも使ってもらったらいいのに……と、平和な事を考えていたら
すんごい勢いで扉が開いた。