謎は流しておしまい~迷探偵とやめたい助手~(仮)

細いメンソールの煙草をバッグから出し
一枚の絵のように煙を吐き出す喪服の女。

ジッと見てると目が合ってしまった。

「お葬式でした?」
気まずさにそんな変な事を聞いてしまうと、彼女は平然と「うん。大泣きしてきた」って大きな煙を吐き出す。

大泣き
身内か恋人か
大切な人が亡くなったんだな。
だから感情が高ぶってたとか。

「大変でしたね」
何て言っていいのかわからず、そんないたわりの言葉を出したら「知らない人の葬式だけどね」と、クールに言われてしまった。

知らない人の葬式で大泣き?

「大金持ちの80過ぎのおじいちゃんが亡くなってね、その顧問弁護士からの依頼。おじいちゃんから弁護士に『自分の葬式には綺麗な女を呼んで、愛人のふりをさせて身内を混乱させろ』って遺言があったのよ」

遺言で愛人のふり?

「だから大騒ぎして泣いてきた。棺にすがって『こんなに愛してたのに。まだ子供も小さいのに』って泣いてきた」

じーさん
その遺言は怖すぎる!

「その後は大混乱。先に逃げて帰って来たのが心残り」

サラリと言う女性の言葉に、私と畑山さんの背筋がゾクリ。

この人
仕事の為なら何でもやりそう

怖い。

ってゆーか
うちの先生は
こんな怖い女性に
どんな恨みを買ったの?


< 43 / 52 >

この作品をシェア

pagetop