謎は流しておしまい~迷探偵とやめたい助手~(仮)
細いメンソールの煙草をバッグから出し
一枚の絵のように煙を吐き出す喪服の女。
ジッと見てると目が合ってしまった。
「お葬式でした?」
気まずさにそんな変な事を聞いてしまうと、彼女は平然と「うん。大泣きしてきた」って大きな煙を吐き出す。
大泣き
身内か恋人か
大切な人が亡くなったんだな。
だから感情が高ぶってたとか。
「大変でしたね」
何て言っていいのかわからず、そんないたわりの言葉を出したら「知らない人の葬式だけどね」と、クールに言われてしまった。
知らない人の葬式で大泣き?
「大金持ちの80過ぎのおじいちゃんが亡くなってね、その顧問弁護士からの依頼。おじいちゃんから弁護士に『自分の葬式には綺麗な女を呼んで、愛人のふりをさせて身内を混乱させろ』って遺言があったのよ」
遺言で愛人のふり?
「だから大騒ぎして泣いてきた。棺にすがって『こんなに愛してたのに。まだ子供も小さいのに』って泣いてきた」
じーさん
その遺言は怖すぎる!
「その後は大混乱。先に逃げて帰って来たのが心残り」
サラリと言う女性の言葉に、私と畑山さんの背筋がゾクリ。
この人
仕事の為なら何でもやりそう
怖い。
ってゆーか
うちの先生は
こんな怖い女性に
どんな恨みを買ったの?