謎は流しておしまい~迷探偵とやめたい助手~(仮)
本職が副業
まずは乱れた部屋を2人で片付ける。
片付けながら私は思う。
あの5の付く日に浮気してた人は、本気の浮気じゃなかったんだ……それがわかると何だか心の奥がホッとする。
ゲスな人じゃなかったんだ。
人間、悪い人ばかりじゃないんだよ。
方法としては
まぁいい方法とは言えないけど
「真実がわかるとスッキリしますね」
割れたカップを片付けて
壁のシミを拭きながらそう言うと、畑山さんは嬉しそうに大きくうなずいた。
「真実はひとつなんだよ杏ちゃん」
ドヤ顔で私に伝えてくれた。
さっきまで震え上がって怯えていたヤツはいずこへ?
いやしかし
破損はマグカップひとつだと思っていたら
叩きつけられた側の壁に傷が付いてしまった。
拭いても拭いても傷は消えない(当たり前)
小さいけど目立つなぁ。
「うーん。困った」
「どうしたの?」
ハイヒールで開いてしまったソファの穴を、透明なビニールテープでふさぎながら(これも破損だった)畑山さんは私に聞く。
「壁の傷が気になって」
「あーなるほど」
気持ちの入らない平和な声を出しながら、畑山さんは私の後ろに立って傷を指で触る。