うちの後輩ナマカワです。
「意味が分からないんですけど」
歳を感じさせない爽やかな笑みを浮かべ、巫山戯た台詞を吐く父親に思わず声が低くなる
「とりあえず、朝は製造スタッフがレンさんが居た時と同様に一人来るからその人に作業の流れを一通り教えてもらってくれ。昼過ぎにはお前一人で接客をしてもらうが、まぁ、毎日忙しいカフェで働いてたから大丈夫だろ?
で、食材などの搬入はレンがやりとりしてきた業者のファイルがあるからそれを参考に。金銭面は当面俺が管理する。あ、たまには俺も顔を出すからな」
「え、ちょ、ちょっとまって!!」
このままだと私の言葉を無視したまま話を進めそうだったので慌てて口を挟む
「そもそも、どうして私なの? 私、レンさんと会った事一度もないんだけど‼︎」
男か女かもわからない謎の人物”レン”さん。しかも有名人っぽい。
なぜレンさんは自分の友人の娘っていうだけで店を任せようなんて思ったのだろうか
「んー…まぁ、手紙には凛々が適任だと書いてあったからなぁ、レンの言葉に嘘は一度もないから安心しろ」
こいつあからさまに話をはぐらかした
思わず出そうになる手を寸前で止め、今一度周りを見渡した
決して大きなお店ではないが、今からここは期限付きの立派な自分のお店。
お店をいつか持ちたいなとは思っていたが、まさかこんなすぐに叶うとは
「…まぁ、御指名されたからには責任を持ってやらせていただきますよ
店長兼接客兼製造を‼︎」
「…おお。頼りにしてるぞ」
若干引き気みの父を無視して私は高らかに声を上げたのだった