うちの後輩ナマカワです。
適任者とは誰か
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「嗚呼、今思えば何であんなこと軽々しく受けてしまったんだろうか…」
「ほらほら!口じゃなくて手を動かして下さい凛々(りり)店長!」
「ああ、ごめん鞠(まり)ちゃん‼︎」
少し物思いに耽っている間に木で出来た作業台の上にはころころとピッタリ軽量された山積みのパン生地
私は慌てて両手にその生地を握り転がして丸めていく
鞠ちゃんこと白石鞠絵(しらいしまりえ)は朝と昼の仕込みを手伝ってくれている製造スタッフさん
色白で小柄で華奢。更に童顔で可愛らしいをした鞠ちゃんは顔に似合わずズバズバと誰にでも物事をはっきりと言うタイプ
最初こそ鞠絵ちゃんも突然現れた自分に対してニコニコと天使のような笑みで優しく教えてくれていたが、数ヶ月経った今ではほんと、鬼、般若。
特に鞠ちゃんのパン愛は凄まじくて、パンの練り合わせ、発酵、パンチ、成形に至る全てど素人の私は何度こっ酷く叱られメンタルがやられたことか…
鞠ちゃんのスパルタ教育のお陰でほんの数ヶ月で発酵の具合は及第点だが、その他は大方出来るようになったから、鞠ちゃんって凄いと思う