もしも君と言葉を交わすなら【短編】
私はゆっくりとベッドの上に乗り、彼と同じように布団の中で横になってみる。
そして彼の目にかかっている細く茶色い前髪を掻き分けると、前髪によって隠れていた彼の目が露わ(あらわ)になった。
ーーー綺麗な二重に長いまつ毛。
彼の顔は、私の目の前にある。
「ん………」
彼は小さく声を漏らすと、右手で目をゴシゴシと擦った。
私が前髪を掻き分けたのがくすぐったかったのかもしれない。
起こしたかな、と思ったけど彼は以前変わらずスースーと寝息を立てている。
まだ、大丈夫みたい。