もしも君と言葉を交わすなら【短編】
私は歩き出そうとする彼の服の裾を掴んだ。
まだ行かないで、と。
彼は振り返りそんな私をじっと見つめると、腰を下ろしてその綺麗な顔を私に近づけた。
「………なに?まだ構ってほしいの?」
”うん”
「まだ一緒に布団の中にいたかった?」
”ーーーうん”
彼は自分の服を掴む私の手をゆっくりと離した。
「支度が終わったらすぐ戻ってくるから、もう少しそこで待っててな」
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