もしも君と言葉を交わすなら【短編】





「ミア、」




彼は部屋のドアノブに手をかけると、そう私の名前を呼び振り返った。





「お前がいてよかったよ」






ーーーもしも君と言葉を交わすなら私は、





間違いなく



”大好き”



と伝えるだろうーーーー






ーーーでもね、私は君と言葉は交わせないんだ。



どんなに足掻いてももがいても、私の言葉は君には届かない。






「ニャオ」





だから私は精一杯の気持ちを込めて、できる限り高く綺麗な声で鳴いてみせる。




彼はふっと笑うとドアを開け、朝の準備へ取りかかった。









end.






< 9 / 10 >

この作品をシェア

pagetop