ハルとオオカミ

オオカミの瞳




その日から、一緒に教室に残って勉強して、そのままふたりで帰る日が続いた。


だからか、テスト一日目も「帰ろ」って言われて「あ、うん」ってナチュラルに一緒に帰る流れになった。

最終日の三日目は私が「本屋に行く」って言ったら「ついてってい?」って言われて、内心大歓喜しながら「いいよ」って答えたから一緒に駅前へ行くことになった。


なんてこった。

ただの『友達』である私が、推しと放課後寄り道とか許されていいのかな。テスト頑張ったご褒美?



「あーー、生物しんだ。日本史もしんだ。マジでヤバい」



隣を歩きながら、五十嵐くんがうんうん唸る。どうやら今日受けた科目が赤点を回避できているか自信がないらしい。


テスト後の五十嵐くんはいつもこんな感じなんだよね。大体ひとつかふたつ赤点取っちゃってて、成績の順位も下から数えた方が早い。


「五十嵐くん、昨日も『古文しんだ』って言ってたよね」

「古文も現文もやべーよ。あ、でも、数学ははるにすげー教えてもらったからたぶんできてる」

「あ、ほんと? よかったー」


最近の五十嵐くんは授業もちゃんと受けてるし、課題もやってるみたいだから、今回のテストは成績が上がってたらいいなあ。


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