ハルとオオカミ
うわーん、ちょっと話が長いです、先生!
涙目になりながら、ほんの少しの期待を胸に教室へ戻る。
だけど案の定、私のうしろの席には誰もいなかった。
「…………」
さすがに帰っちゃったよね……。五十嵐くん、私が呼び出されてたの見てたし。
彼と私は今日、朝に会話した以降話していない。
朝、声をかけた私に五十嵐くんは驚いていたし。そもそも今日、彼は私と話すつもりがなかったのかもしれない。
私は今朝、昨日壊した日常を取り戻そうとした。なかったことにして、自分の気持ちに蓋をして、このまま友達を続けようとしていた。
でも、五十嵐くんはそうしなかった。
いつもなら登校してきたら声をかけてくれたし、授業の合間に話しかけてくれたのに。
それって、もう……私と友達をやめるってことなのかな。