ハルとオオカミ
「ごめんなさい。今、友達待ってるから」
嘘は言ってないよねと思いながら言葉を返した。
「じゃあ、友達来たら一緒に行こうよ」
「うーん……友達にも聞いてみなきゃわからないです。私たちじゃ決められない」
「たぶんその子もいいって言ってくれるよ。で、どこ行くの?」
アキちゃんは絶対いいって言わないと思うけど……。
なかなか引かないな、この人たち。よく見たら、ガラの悪い生徒が多いって有名な高校の制服を着ていた。
人を見た目で判断したりはしたくないんだけど、ちょっと面倒くさいと思ってしまう。
どうしようかなと思っていると、不意にそばから別の声がした。
「邪魔なんだけど」
その声に、私ははじかれたようにそっちを向いた。
……五十嵐くん!?
私のすぐ近くに、不機嫌そうな顔をした五十嵐くんが立っていた。あまりに突然なことに言葉を失う。なんでここに!