ハルとオオカミ


いきなり登場した五十嵐くんに、ナンパ男子たちは眉を寄せて彼を見た。


「は? なに、お前」

「邪魔だっつってんだよ。出入り口でたむろすんな」


はっ。確かに!


五十嵐くんの指摘にハッとした。

主に入り口付近で広がっているのは男子たちだけど、こんな微妙なところで友達を待ってた挙句ナンパなんかされてる私たちも悪い。


「チッ。うるせーな……ほら、通ればいいだろ。早く行けよ」


彼らもそのことに気づいたのか、面倒そうに道を空けた。五十嵐くんはそのまま通ろうとして、私たちを一瞥してから、言った。


「……明らかにウザがられてんの、わかんねーの? 早いとこ諦めたら。あんましつこいと通報されるかもな」


私たち……正確には私と目が合った状態でそう言ったので、ナンパ男子たちはすぐに自分たちのことだと気付いていなかった。


一瞬の間の後、彼らは「はあ!?」とキレて五十嵐くんにつかみかかった。その場に緊張が走る。やばい!

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