ハルとオオカミ



ありがとう五十嵐くん。五十嵐くんのおかげで今日もご飯が美味しいです。こんな委員長でごめんなさい。


涙を流しながら「おいしい、おいしい」と言って白米を食べる私を、お母さんは終始不気味そうに見つめていた。






「一緒に帰った!?」


翌日の朝。昨日のことをアキちゃんに話すと、彼女は瞳を輝かせて「それでそれで!?」と続きを話すよう迫ってきた。


「声が大きいよ、アキちゃん……」


まだ五十嵐くんは登校してきてないけど、他のクラスメイトは周りにいっぱいいるわけで。


「だってさ、何!? 席替え直後は『これ以上仲良くなるなんて無理』とか言ってたくせに! ちゃっかり!」

「ちゃ、ちゃっかりじゃないよ。偶然だもん……。ただ一緒に帰っただけだし」

「でもすごいじゃーん! ね、どんなこと話したの?」

「別に、大したことは……。あ、この前ナンパに遭って助けてもらったときのこととか」

「あー、あれね……ふーん。そっかあ。ふふふふ」

「なに、こわい……」


アキちゃんが意味深に微笑む。


ほんとにただの世間話しかしてなかったし、私が勝手に悶えていただけだ。前より劇的に仲良くなったわけじゃない。

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