ハルとオオカミ
私、彼とどうなりたいの? なんでお節介焼いてまで話しかけてるの?
ただ心のアイドルとして見ていたいだけなら、わざわざ周りを誤魔化しながら仲良くなる必要ないじゃん。
遠くから見つめて、その場で好きなように騒げばいい。
なのに声をかけてしまうのは、委員長だから?
彼が問題児で、クラスで浮いてるから? 放っておけなくて話しかけてるの?
……違うでしょ?
「……あの、はるちゃん」
膝を抱いてうつむいていると、いきなり目の前から女の子の声が聞こえた。
顔をあげると、クラスメイトの鈴菜ちゃんが不安そうな顔で立っているのが見えた。
彼女は私の顔を見ると、ますます表情を曇らせる。
私は慌てて涙を拭って、いつも通りの声色を努めて「どうしたの?」と返事をした。
鈴菜ちゃんは言いづらそうに眉を寄せて、ぎゅっと目をつむった。
「あ、あの……私、昨日のこと、謝りたくて」
昨日のこと。彼女にそう言われて、思い当たるのはひとつしかない。
じゃあ、やっぱり……。