ハルとオオカミ



「私も五十嵐くんもね、別に怒ってないよ。でも、もし謝りたいって思ってるんなら、みんなの前で言ってほしいな。怖いと思うけど」

「……ううん。みんなの前で謝るのは、当たり前のことだよ。私、あのとき怖くて言い出せなくて……嘘つかせて、旗も直してもらって……本当にごめんなさい」

「私はいいの。謝るなら、五十嵐くんにお願い。それに、あの場は言い出しづらかったと思うから、仕方ないよ。憶測で五十嵐くんを疑って、変な方向に話を進めた男子も悪いし」


鈴菜ちゃんは本当に反省してるみたいで、「みんなにも五十嵐くんにも謝りたい」と涙交じりの声で言った。


「そっか……。じゃあ、今日の帰りに言おう。私も手伝うから」

「うん。ありがとう、はるちゃん。……あと……その、すごく余計なお世話だと思うんだけど」


うん?と首を傾げて話の続きを促すと、鈴菜ちゃんは「五十嵐くんと」と言った。



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