ハルとオオカミ
ともだち。
私が今まで明確に避けてきた、彼との関係を表す名前。
このひとと友達になりたい。ただのクラスメイト以上に仲良くなりたい。
そう思うから、逃げ続けるのはやめた。
彼の目がまっすぐに私を見つめてくれている限り、私も素直になるんだ。憧れに少しでも近づくために。
しばらくの沈黙のあと、彼はぷっと噴き出して、見たことないくらい大きく口を開けて笑い始めた。
「ふっ、あははは……っ。マジか! 河名さん」
「……え、何が……? ていうかなんで笑うの」
「もう友達だと思ってたの俺だけってことじゃん。うっわ、恥ずかし」
「へ……」
もう、友達? だったの、私たち。
いや、五十嵐くんがそう思ってくれてたんなら嬉しいけど。すっごい嬉しいけど!