ハルとオオカミ


「と、友達だったの……? だって今までそんな会話しなかったし、ただのクラスメイトとか、委員長としか見られてないのかなって」

「友達って『ハイ今日から友達です』って言ってなるモンなの? 学校で俺に話しかけてくれるの河名さんしかいないから、勝手に友達だと思ってたわ。確かに河名さんは委員長だしクラスメイトだけど、俺の中ではとっくにそれ以上の『特別』になってたよ」

「…………とく、べつ……」


なんて魅力的な響きだろう。


五十嵐くんにとって私が『特別』だなんて信じられない。


ここ数週間で何度も『夢みたいだ』って思うことがあったけど、今の言葉がいちばん夢みたいに感じる。嬉しすぎてもうこの世に未練ないかもしれない。


私が感動に打ち震えていたら、五十嵐くんはさらに可愛い笑顔で爆弾を落としてきた。


「なんつーか、癒し? みたいな。河名さんと話してたら和むよ。俺、今までそういう知り合いいなかったから、いつもすげー新鮮」


照れ臭そうにそんなことを言うから参った。


五十嵐くんをひとりの男の子として見ると決めても、いまだ消えない私のファン魂があまりの尊さに昇天しかけている。ほ、本当にこの世に未練ない……。今なら死ねる……。


うう、私にとっても五十嵐くんは癒しだよ。とか言えないけど!


なんか私が言うのと五十嵐くんが言うのはちょっとニュアンスが違ってくるからさすがに言えないけど!


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