ハルとオオカミ
◆芸術的な横顔に眩暈がします
友達
「じゃあ、仲直りできたんだ?」
次の日の朝。教室で昨日のことをアキちゃんに報告したら、「よかったねえ」と喜んでくれた。
「うんっ。いっぱい泣いて心配かけてごめんね。なんかまだ実感わかないんだけど、無事友達になれたよー」
「あたし的にはまだふたりが友達じゃなかったことに驚きだけどね」
ニコニコ上機嫌な私に対して、アキちゃんは苦笑いだ。
まあね。五十嵐くんも『もう友達だと思ってた』って言ってたし、傍目に見たら友達に見えてたのかもしれないけど……。
私にとっては結構大きな違いだ。主に意識の面で。
「おはよ」
すると、突然うしろから声をかけられてビクッと肩が跳ねた。
こ……この声は。
ドキドキしながら振り返ると、五十嵐くんと目が合った。
彼はカバンを机の上に下ろしながら、私の様子をまっすぐ見つめてくる。
当然のように『おはよ』って言われて、こんなに近くで目が合う事実に今更ながらドキドキした。
頭の中が、今目の前にいる五十嵐くんと昨日の五十嵐くんでいっぱいになる。声が出せなくなった私を見て、五十嵐くんが訝しげに眉を寄せた。