王太子殿下は囚われ姫を愛したくてたまらない
「好きだ。もう、どうしょうもないくらいに惹かれてる」
切羽詰まった声に胸を打ち抜かれ、収まったハズの涙がまた浮かぶ。
シド王子の背中にそっと手を回し、その身体の大きさを実感する。
私とは違う、大きくてがっしりとした身体はとても温かくて……ドキドキした。
最初こそ、態度の軽さから信頼していいのかわからなかったけど。
気付いたら、ガイルと同じくらい信じている自分がいた。
笑顔を見ると嬉しくて、沈んだ表情を見ると抱きしめたくなる。
声を聞けば、胸が跳ねるし、仕草の隅っこに〝私の為〟が隠れているのに気づくと幸せだと思う。
もっとたくさんの時間をこの人とすごしたい。
そんな風に、〝明日〟を心待ちにしたのは初めてだった。
――私は。この人が好きだ。