久遠の絆
「ナイルターシャさま。それは?」


カイルが久しぶりに口を開いた。とてもかすれた声だった。


「これは、わが一族にのみに語り継がれる神託だ」


「!!」


「巫女姫は初めから巫女姫ではない。あまたいる巫女の能力を持つ者から、最終的にもっとも力ある者が選ばれる。
まず教えられるのが、神託の数々。そこで巫女たちは自分達の役目が何かを知るのだ」


「……その神託を、なぜ我々に?」


ナイルターシャの眼が鋭く光った。


「いいかい、元帥殿」


「はい」


「以前にも言ったことがあると思うが、今は大局を見るときだ。国同士で争っている場合じゃない。
世界は、いや宇宙はもう限界にある」


「……?」


「宇宙は泡状。その一つ一つがぷちぷちと、洗濯石鹸のように弾けて消えていってるのさ」


「!?」


カイルと蘭は顔を見合わせた。


いきなり話が壮大になって付いていけない。


「巫女姫は次元を超えて見ることができる。それはすなわち、宇宙全体を見られるということだ」


「救い手がその“プチプチ”を止められるって言うんですか?」


とんでもない話だ。


そんなことできるわけがない。


「答えを急ぐんじゃないよ」

とナイルターシャが鷹揚に言った。


「何も今すぐ宇宙が崩壊するわけじゃない。“プチプチ”はずっと昔から、徐々に起きていたことなんだからね」


「あ、だから以前にも救い手が来た?」


「ご名答」

カイルは何となく合点がいったようだったが、蘭は依然として理解に苦しんでいる。
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