久遠の絆
ぽかんと口を開けてそれを見る蘭。


そんな大きな船が出来る限りの低空で飛んでいるため、背の高い樹木のてっぺんの辺りは吹き飛ばされてしまっている。


(え、あれって……)


呆然としつつも、目に映った禍々しいものに意識は集中した。


大砲。


その砲口が船の側面に等間隔に並び、外へと向けられていた。


(やばい……やば過ぎる……)


もう襲われている集落の住民のことなど頭から飛んでいた。


まずは自分身の安全の確保だ。


きょろきょろと辺りを見回して隠れる場所を探した。


木の中に紛れれば、少しはマシだろうか。


そうもう一度ジャングルの中に入ってしまえば……。


けれど迷ってしまったら?


そうなったとしても命の保証はない。


(わたし、いまこんなにも生きることに必死になっている)


ついこの間まで死にたいと思っていたのに……。


そんな自分がなんだか滑稽に思えた。


死ぬことって、そんなに簡単なことじゃない。


そう思った。


とりあえず大木の陰に身を潜め、嵐が過ぎるのを待つことにした。


その途端。





ブオンブオンブオン






またあの船の音がした。

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