久遠の絆
そうやって集落の方を凝視している時、ふいに誰かに肩を叩かれた。
「ひえっ!」
「しっ!静かに。そのまま後ろに下がって」
「な、なんなの?あなた誰?」
「それはまたあとで。とにかく安全なとこまで行くから、付いて来て」
囁き声で交わす会話から、相手が少年であることが察せられた。
その少年は蘭の肩に手を置いたまま、ゆっくり彼女を後ろへと誘導する。
蘭は不思議と怖いと思わなかった。
彼が自分に危害を加えるような相手ではないことを本能で感じ取っていたのだ。
視界が茂みに覆われ、集落を直接見ることが出来なくなった所で彼は止まった。
「ここでいいかな。驚かせてごめんね」
蘭は振り向き、微笑みながら首を振った。
「あなたは、誰?」
「俺はマト。あの集落の住人だ」
「あ……」
蘭は言葉を失った。
たった今住む居場所を失い、もっと酷い目にあったかもしれないことを思うと、なんと
言葉を掛けていいのか分からなかったのだ。
マトはジャングルの住人らしい浅黒い肌をしていた。
それに亜麻色の髪と瞳がよく似合っている。
均整の取れた体を簡素な衣服で覆っているだけなので、その下の逞しい体つきが垣間見えてしまい、蘭は少し顔を赤らめた。
(ほんとにこの世界ってば、かっこいい人しかいないんだから……)
「君は……」
「あ、わたしは蘭」
「ランか」
にっこりと白い歯を見せて笑うマトは、たった今村を襲撃された人とは思えないほど屈託がなかった。
しかし。
「ひえっ!」
「しっ!静かに。そのまま後ろに下がって」
「な、なんなの?あなた誰?」
「それはまたあとで。とにかく安全なとこまで行くから、付いて来て」
囁き声で交わす会話から、相手が少年であることが察せられた。
その少年は蘭の肩に手を置いたまま、ゆっくり彼女を後ろへと誘導する。
蘭は不思議と怖いと思わなかった。
彼が自分に危害を加えるような相手ではないことを本能で感じ取っていたのだ。
視界が茂みに覆われ、集落を直接見ることが出来なくなった所で彼は止まった。
「ここでいいかな。驚かせてごめんね」
蘭は振り向き、微笑みながら首を振った。
「あなたは、誰?」
「俺はマト。あの集落の住人だ」
「あ……」
蘭は言葉を失った。
たった今住む居場所を失い、もっと酷い目にあったかもしれないことを思うと、なんと
言葉を掛けていいのか分からなかったのだ。
マトはジャングルの住人らしい浅黒い肌をしていた。
それに亜麻色の髪と瞳がよく似合っている。
均整の取れた体を簡素な衣服で覆っているだけなので、その下の逞しい体つきが垣間見えてしまい、蘭は少し顔を赤らめた。
(ほんとにこの世界ってば、かっこいい人しかいないんだから……)
「君は……」
「あ、わたしは蘭」
「ランか」
にっこりと白い歯を見せて笑うマトは、たった今村を襲撃された人とは思えないほど屈託がなかった。
しかし。