久遠の絆
蘭は肩で激しく息をつきながら、彼の次の行動を待った。


そして後ろを見た。


まだ他に人影はない。


ほっとして顔を戻すと、それと同時にマトが蘭の手を引きながら歩き始めた。


「マト?」


どこに行くの?


彼の目は確信に満ちていて揺るぎがない。


だから蘭はそのまま彼に身を委ねた。


広場のちょうど反対側、あの大きな一枚岩の陰に入ると、マトはその岩壁に埋め込まれるようにしてあった透明な石に手をかざした。



ブワン



どこかで聞いたような音がして、乳白色の光がそこから零れ出る。


(シェイルナータさま?)と蘭が思った時、ゴゴゴと地響きがして目の前の岩の一部がせり上がっていったのだ。


驚きのあまり声がなかった。


岩が上がり切った向こうには、ぽっかりと空洞が出来ていた。


「さ、どうぞ」


まるで自宅に招き入れるように気軽な感じでマトが言った。


蘭は促されるままに空洞に吸い込まれて行った。


マトも入ったという気配を感じるとすぐに、闇に包まれた。


岩が閉じたのだ。


「マト?」


何も見えず不安になって名を呼ぶと、「ここにいるよ」と手を握られた。


するとすぐに乳白色の光がその場に満ちて。


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