久遠の絆
「奇襲が功を奏し、我が軍がまずは先手を打ったという所でしょうか」
そう言いながらも表情ひとつ崩さないのは、隻眼の男。
黒皮の眼帯で覆った左目から頬にかけて、肉のえぐれた古傷がひと筋走っている。
その隻眼の男が対しているのは、漆黒の髪と瞳を持つ青年だった。
真の闇を映したような瞳を半ば伏せ、青年は「そうか」とだけ呟いた。
「何かご不満がおありのようですが」
漆黒の青年よりもいくらか年長に見える隻眼の男は、それでも意外そうな素振りを見せることなく淡々と問い掛ける。
「不満などないさ。ようやくここまで辿り着いたんだ。あとは最後まで突っ走るだけだ。そうだろう?」
初めて隻眼の男の表情が動いた。
満足そうに微笑んでいる。
「総帥の迷いは、すぐさま全軍に波及し足枷となるのです。どうぞ。迷うことなく、ただ一心に前を向いておられますように」
総帥と呼ばれた漆黒の青年は、力強く頷いた。
「迷うことなど何もないさ」
という言葉とともに。
そう言いながらも表情ひとつ崩さないのは、隻眼の男。
黒皮の眼帯で覆った左目から頬にかけて、肉のえぐれた古傷がひと筋走っている。
その隻眼の男が対しているのは、漆黒の髪と瞳を持つ青年だった。
真の闇を映したような瞳を半ば伏せ、青年は「そうか」とだけ呟いた。
「何かご不満がおありのようですが」
漆黒の青年よりもいくらか年長に見える隻眼の男は、それでも意外そうな素振りを見せることなく淡々と問い掛ける。
「不満などないさ。ようやくここまで辿り着いたんだ。あとは最後まで突っ走るだけだ。そうだろう?」
初めて隻眼の男の表情が動いた。
満足そうに微笑んでいる。
「総帥の迷いは、すぐさま全軍に波及し足枷となるのです。どうぞ。迷うことなく、ただ一心に前を向いておられますように」
総帥と呼ばれた漆黒の青年は、力強く頷いた。
「迷うことなど何もないさ」
という言葉とともに。