久遠の絆
◇◇◇
「ラン様」
リリカに呼ばれ振り向くと、彼女は困ったように笑っていた。
(またやっちゃった)
このところぼんやり考え込むことの多い蘭は、呼びかけられてもすぐに気付かないということの方が多い。
内心舌を出しつつ「ごめんね、何?」と尋ねると、
「あの、驚かれるかもしれませんけど……」
と、話しかけておきながら、リリカも何やら困惑しているように言葉を濁した。
「え、どうしたの?」
「はい、あの、総帥がラン様をお呼びとか」
「総帥……って、シドさん?」
「はあ、はい、そうです」
今まであまり接触してこなかった総帥の突然の呼び出しに、リリカは心配そうに眉をひそめている。
けれど心当たりのある蘭は、向こうから接見の機会を作ってくれたことに喜んでいた。
シドと話をしてから一週間。
会うに会われず、次はいつ機会が来るとも知れなかっただけに、向こうから会いたいと言って来てくれるなんてこれ以上のことはなかった。
(あれ、でも……)
もしヘラルドに知られたのだとしたら?
一瞬そんな考えが過ぎり、蘭は急いで首を振った。
(今そんなこと考えても仕方ないよ。当たって砕けろだ)
そう思い立ち上がった。
「わたしは同席できませんが……」
「うん、リリカ、きっと大丈夫だから、そんな心配しないで」
そう言って、先に立って歩き始めた。
蘭自身、自分が変わりつつあることを感じている。
こんなに率先して何かをしようなんて、以前の彼女にはなかったことだから。
そんな蘭を励ますように、指輪の石が密かに点滅していた。
「ラン様」
リリカに呼ばれ振り向くと、彼女は困ったように笑っていた。
(またやっちゃった)
このところぼんやり考え込むことの多い蘭は、呼びかけられてもすぐに気付かないということの方が多い。
内心舌を出しつつ「ごめんね、何?」と尋ねると、
「あの、驚かれるかもしれませんけど……」
と、話しかけておきながら、リリカも何やら困惑しているように言葉を濁した。
「え、どうしたの?」
「はい、あの、総帥がラン様をお呼びとか」
「総帥……って、シドさん?」
「はあ、はい、そうです」
今まであまり接触してこなかった総帥の突然の呼び出しに、リリカは心配そうに眉をひそめている。
けれど心当たりのある蘭は、向こうから接見の機会を作ってくれたことに喜んでいた。
シドと話をしてから一週間。
会うに会われず、次はいつ機会が来るとも知れなかっただけに、向こうから会いたいと言って来てくれるなんてこれ以上のことはなかった。
(あれ、でも……)
もしヘラルドに知られたのだとしたら?
一瞬そんな考えが過ぎり、蘭は急いで首を振った。
(今そんなこと考えても仕方ないよ。当たって砕けろだ)
そう思い立ち上がった。
「わたしは同席できませんが……」
「うん、リリカ、きっと大丈夫だから、そんな心配しないで」
そう言って、先に立って歩き始めた。
蘭自身、自分が変わりつつあることを感じている。
こんなに率先して何かをしようなんて、以前の彼女にはなかったことだから。
そんな蘭を励ますように、指輪の石が密かに点滅していた。