久遠の絆
北の大陸。



それは周りを海に囲まれた、緑溢れる大地だった。


そこを支配する帝国は、大地の恩恵に与る豊かな国だった。


そして何よりも、発達している文明が大きな武器だった。


『次元を超える船』などを作ることのできる技術があるのだから、この世界は想像以上に科学が発達しているのだ。


そして帝国の長い歴史を彩る平和。


北の大陸よりも豊かさで劣る南の大陸の国々は、その強国に対し、叛意を抱いて手を出すことなど考えたこともなかった。


北からの物資の援助を受けていられれば、それで良かったのだ。


しかしその平和に二年程前綻びができた。


それは、突如南の大陸に建国されたガルーダという国の宣戦布告による。


ガルーダの武力兵力は、帝国と同等かそれ以上。


そして南の国々はガルーダを選んだ。


その新興国と周辺の国によって、ダンドラーク包囲網が作られたのだ。


しかしどれだけ強力な包囲網ができようと帝国の牙城を崩すことは容易ではなく、南北の戦争は長期化の様相を呈していた。


それでもじりじりと同盟軍側が押してきており、前線では激しい戦闘が繰り返されているという。


無駄とも思える戦いの中で、犠牲者ばかりが増えていく。


帝国は徐々に疲弊してきているのだ。



















< 45 / 810 >

この作品をシェア

pagetop