久遠の絆
黄金の髪がそよ風に揺れる。


金糸の織り込まれた白地のマントがたなびき、腰に下げた細身の剣が長い足に沿って見え隠れした。


そして印象的な薄緑色の瞳。


何度見ても飽くことのない宝石のような美しさ。


(今日も綺麗ねえ)


立派な大人の男性を褒めるにはいささか的外れな言葉だが、カイル・アルファラという人には“綺麗“という言葉が一番ふさわしい。


そして蘭の目の前に立つと、優雅に会釈するのだ。


(ああ、最高!)


我ながら馬鹿だとは思う。


(でもこんな素敵な人にお姫様のように扱われるなんて、女の子なら誰だって嬉しいはずよ)

と、にやける顔の言い訳にする。


「ご機嫌麗しく、何よりでございます。蘭さま」


穏やかに微笑むカイル。


その笑顔を、(ああ、石膏で固めて飾っておきたい!)


「ごきげんよう、カイル。なんだかお久しぶりね」


そう扱われるからか、口調まで王女気分だ。


(わ、わたしがごきげんようって)


心の中でぷぷっと吹き出しながら、蘭は決まった動作を行う。


右手を差し出し、騎士の接吻を受けるのだ。


蘭は完全に自分に酔っていた。


訪問者と言えばカイルだけ。


それも日を置いての訪問だった。


美人は3日見れば飽きると言うけれど、彼の場合はそんなことはなく、とにかくいつでも見ていたい。


それほどまでの、神懸り的な美しさ。


(は~、こんな人がいつも側にいてくれたら最高なんだけどな)


部屋に戻りながら蘭は、そんなくだらないことを考えていた。
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