久遠の絆
イーファンと出会い、その人の哀しみを知り、その人の乗り越えてきた年月を知ったことで、蘭はようやく、自身の過酷な半生に向き合うことが出来るようになった。


何度も投げ出しそうになった、命。


だけど、それは、なくなってしまえばもう元には戻らない。


何があっても、もう彼女は自らの命を断とうとはしないだろう。


どんなに辛くても、どんなに苦しくても、生きていなくてはそれを乗り越えることも出来ないのだから。


それを乗り越えた先を、見ることも出来ないのだから。


そう悟った時。


それは、彼女の心の闇に、一筋の光が差した瞬間だった。







そして、瑠璃の指輪にも光が戻る。


少しずつ少しずつ。


混沌としていた石の色が、美しい色を取り戻していく。


最初は気付かない程の、微かな変化であったけれど。


それは確実に、光を取り戻していったのだ。


その持ち主の気持ちに呼応して、ゆっくりと明らかに。



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