久遠の絆
「こちらに近付いて来る気配に、蘭さんの気配もくっついていたので、まさかとは思ったのですが……。ではあなたは、ナイルターシャに全てを託された方なのですね」
イーファンにそう言われ、マトは戸惑っている。
「俺はただ、指輪を渡すよう言われただけで……」
「部外者に瑠璃の指輪を託すだけでも、ナイルターシャのあなたへの信頼が窺われます。それだけでなく、あなたはここにまでやって来た。ナイルターシャに蘭さんを守れと?」
「え、ええ。俺にどれだけのことができるかは分からないけど……」
「そうですか。我々はあなた方を歓迎しますよ。お疲れでしょう。シャルティ」
「ああ。ひとまず荷を下ろして、食事でも取ってくれ」
マトの戸惑いを余所に、アトゥマの指導者ふたりは話を進めていく。
蘭と再会し、彼女を守ればいいのだと思っていたマトは、イーファンの言動の裏に別の思惑を感じ、戸惑っているのだった。
「ええっと、マトと……そっちは」
「妹のマヤです」
「ああ、そう、マヤ。付いて来てくれ。君たちの部屋も用意させよう」
シャルティに言われ、嫌でも動かざるを得なくなったマトは、ちらっと蘭を見た。
蘭も彼を見ていた。
再会を喜んでか、少し瞳が潤んでいる。
それを見た途端、マトはドキッとした。
反射的に視線を逸らしてしまう。
そんなマトを見透かしたように、イーファンはにこにこしている。
それは滅多に見ないくらいの、満面の笑顔だった。
「落ち着かれたら、ゆっくりお話しましょうね」という言葉で見送られたマトは、扉の外で深い溜め息を吐いたのだった。
この兄妹との再会が、さらなる過酷な運命の幕開けであることを、蘭はまだ気付かないでいた。
イーファンにそう言われ、マトは戸惑っている。
「俺はただ、指輪を渡すよう言われただけで……」
「部外者に瑠璃の指輪を託すだけでも、ナイルターシャのあなたへの信頼が窺われます。それだけでなく、あなたはここにまでやって来た。ナイルターシャに蘭さんを守れと?」
「え、ええ。俺にどれだけのことができるかは分からないけど……」
「そうですか。我々はあなた方を歓迎しますよ。お疲れでしょう。シャルティ」
「ああ。ひとまず荷を下ろして、食事でも取ってくれ」
マトの戸惑いを余所に、アトゥマの指導者ふたりは話を進めていく。
蘭と再会し、彼女を守ればいいのだと思っていたマトは、イーファンの言動の裏に別の思惑を感じ、戸惑っているのだった。
「ええっと、マトと……そっちは」
「妹のマヤです」
「ああ、そう、マヤ。付いて来てくれ。君たちの部屋も用意させよう」
シャルティに言われ、嫌でも動かざるを得なくなったマトは、ちらっと蘭を見た。
蘭も彼を見ていた。
再会を喜んでか、少し瞳が潤んでいる。
それを見た途端、マトはドキッとした。
反射的に視線を逸らしてしまう。
そんなマトを見透かしたように、イーファンはにこにこしている。
それは滅多に見ないくらいの、満面の笑顔だった。
「落ち着かれたら、ゆっくりお話しましょうね」という言葉で見送られたマトは、扉の外で深い溜め息を吐いたのだった。
この兄妹との再会が、さらなる過酷な運命の幕開けであることを、蘭はまだ気付かないでいた。