久遠の絆
「ああ。グレン中将の部下から連絡が来た。いかだのような船で海を渡っている途中、海賊船に拾われ、ガルーダ西方の海岸に接岸したらしい」


「ほう、海賊船に」


「そこには、お前の兄も乗っていたそうだ、シド」


「俺の?」


シドははっとした。


「ああ、お前の兄。カイゼライト・フォーンネス・エルブライト」


その名を言ったカイルは嬉しそうだった。


カイゼライトが帝国にいた時には、彼もまたカイルの友人だったからだ。


海賊達が同盟軍の戦艦を奪った後、カイゼライトもそのまま同乗していたのだと言う。


いかだに乗る者の中に見知った顔を見つけたカイゼライトが、海賊に収容するように頼んだのだ。


「海賊にいいも悪いもないだろうが、話の分かる海賊で良かったな」


兄との再会を望むシドもまた、感慨深げだった。


「じゃあ、そいつらも回収してやってくれ」


グレンは頷いたが、シャルティは釈然としない物があるらしい。


「それだけ動いて、ヘラルドにこちらの動きが知れたら厄介だろ?」


そう懸念を口にするシャルティだったが、シドは不適な笑みを浮かべた。


「とっくに奴には筒抜けだ。気にすることはない」


「何だと?」


「こちらの動きを全部把握していながら、泳がせているんだろう。最後まで待っても、勝てると思ってやがるんだ。だから、俺達もやりたいようにすればいい」


「……なるほど」


「やれるな、グレン」


「もちろんだ」


力強く頷くグレンは、本当に頼もしい存在だった。


戦術のプロには、勝算もあるのだろう。


シドがこれ程の信頼を他人に寄せるのも珍しいことだった。


「奴との、最終決戦だ」


シドの漆黒の瞳が挑むように輝いた。







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